日本国紀の感想文

公にしたくない私事なのだが、60歳の私は大も小も便座に座って済ませます。最近のファブリーズのCMよろしく小でのはじく要素を気遣っている訳でなく別の理由があるのです。例えば居酒屋での飲み会、生ビールを2杯程飲み干した私がトイレに立ちました。いつもなら大便座で足す小ですが混み合って待つ時間が惜しいので小便器の前で普通に用を足します。気張って振り絞り、残尿感が一切無くなるのを確信して席に戻ります。ところが、いや~どもど~も・・・と座る瞬間・びょ~~っと残りが流れてきてズボンの内またを滲ませるのです。どうやら前立腺の老化現象らしい・・。冬場であればももひきをはいていたり、ズボンが厚手であったりして誤魔化しがきくのでしょうが夏場・薄手の下着ズボンの場合は隠しようが無く染み出ます。


厚木基地にダグラスC-54B・愛機バターン号で降り立ったマ元帥もズボンに私と同じ染みができたようです。着陸モードではトイレが使えませんでしたが要シートベルト解除の後、小用を澄ませタラップを降りた所で、びょ~~と・・・。この染みを日本軍人の反乱・報復を恐れて失禁・・と本書に書いてしまいました。百田さん・・・失敗かもしれません。厚木基地に降り立った瞬間のマ元帥に白旗を挙げた日本帝国を恐れる気持ちなど微塵も無かった、と言わざるを得ません。


日本国紀をワクワクと手にした時、百田さんなら絶対に採りあげてくれたはず・・と期待した史実の一つ、「ポツダム宣言を無条件で受託した後の8月17日深夜、千島列島最北の、占守島に攻め込んできた露軍を粉砕した樋口中将配下97式軽戦車チハ・士魂隊の戦い」を書き留めて頂いた事には深く感謝し安堵しました。ですがもうひとつ私が書いて欲しかった事
「昭和天皇がご聖断を下さなかったなら、8月17日に東京か京都に原爆が投下されていた事、そしてその後も月に2個~3個ペースで投下する準備が整っていた事。つまり御聖断により国民は一斉に耐え難きを耐える事を受容したが、もし東京に原爆が落とされ昭和天皇を失っていたら、日本国民に歯止めという物が一切作用せず玉砕の嵐に突入し、日本列島は一時期、月面の如くクレーターに覆われていた事。つまり、ひとえに御聖断あったが故「国体・国土」は残ったのだと確信できる事」が記述されていませんでした。


百田さんが本紀でなく副読本のまえがきで書いた事はまさに私と同じです。50歳を過ぎた頃、漠然としていた知識を自分なりに再確認するようになった私は少しづつ気付いてきました。「自分は本来知るべき自分の国の歴史事実を教えてもらっていない。」そして、この齢になって自分から手繰り寄せて得た史実は右でも左でもなく、日本人として当たり前に知っておくべき事である事を・・・。
何故、教師達は明治維新ぐらいからムグムグ・・と言って授業を進めなかったのか・・?40年前の私は、WGIPなど知る由も無かったので、モロに影響を受け、朝日新聞を信望し小田実に憧れ、韓国からの通信byTK生・・等を読みました。(ただ、資本論を本棚に飾り普通の人より一歩マルクス経済学に足を踏み入れましたが、本能的にこれは正しくないと感じたのは正解でした。)


昨今、韓国・北朝鮮・支那国に揺さぶられる反動で右系統の論客が気を吐くようになりました(特に一番好きなのは宮台さん)。正直に言うと耳に心地よいのですが、根本の所がぶれてきている感じがします。ぶれるというのは論説が高ぶり国粋・改憲(自衛隊明記でなく再軍備改憲)に傾いていく感じがするのです。日本は明治以降、大東亜戦争まで地球上のあらゆる国と戦い自分達が最強である事に気付きました。ですが、唯一、米国と長期戦になると勝てない!と肝に銘じました。
「未来永劫、米国と戦わない!」あの年8月15日誓ったのです。そのどん底の決意から吉田、白洲、岸、栄作、中曽根、小泉、安部(敬称略)と継承されている根本概念を変えてはいけないと思うのだ。
一方、米国はどうか・・というと明らかに変化している。というか忘れている。米国はWWⅡを終結させた時、この東洋の邪悪な悪魔の牙を永遠に抜き取らなくてはならないと痛感しました。それが新憲法であり、軍事裁判(周回判事によるハンギングオンと同じだ)であり、WGIPであり・・で、我々普通の国民は見事に手懐けて頂きました。そして、憲法に書かせてしまったから・・と70年もの間、銃弾の飛び交う前線に立たなくてもよい特権を許していました。ところが、ブッシュ(偉大でなく愚かな方)大統領あたりから「金だけ出せばいいってもんでない・・!!あんめありか・と共に銃を持て!そして自分の国は自分で守れ!」と風向きが変ってきました。その変化にむしろ嬉々としているのが日本の右系であり、私も小学生でも解る矛盾を先ず正す機会がやっと訪れるのか・・と思いました。ですが、9条のおかげで戦争しなくてすんできた・・9条と書いたお札を玄関、尖閣、竹島に貼っておけば悪い事は起きない!!と頑なに信じ、寒い中、街頭で署名活動をしている爺様婆様を見ると、この人達の理解を得る事は難しいだろうな・とため息が出る思いもあります。


でも、憲法学者でなくて、小学生でも解る(だから解る?)基本憲法の矛盾を、せめて『国民を守るための坑戦力・自衛隊は保持する。』と書き換える事はできないだろうか?と思うのだが無理だろうか?震災前、自民の自滅で民主党政権になり日本は破壊的ダメージを受けました。その反動で、ありえないと思ってきた改憲可能な席数を自公に与えられつつあります。が、ここにきて再度自滅の危機を迎えようとしているようで呆れています。


日本国紀は右でも左でも無いと思うのだ・・。日本人であるなら一度読んでみるとよい本であるだけだ・・。満開の桜を見る時のように・・。